Q:
結婚して12年の専業主婦です。離婚を考えています。
主婦で収入がないので、今後の生活のためにも「財産分与」を請求しようと思っています。財産分与として、どのくらいもらえるものでしょうか?

A:
婚姻してから別居をするまでの間に築いた財産は、名義にかかわらず夫婦の共有財産になります。妻が専業主婦で、夫の収入だけで暮らしていた場合でも同様です。
夫名義の預金や生命保険、夫名義で購入した住宅、車なども共有財産です。離婚の際には、法律上は持ち分である半分を受け取って、共有関係を解消し、清算することになります。これが「財産分与」になります。
ただし、結婚前に貯めた預金や親から相続した財産などは、婚姻生活と関係なく夫または妻が個人として得た財産なので、個別財産として財産分与の対象になりません。
ですから、ご相談者の場合でも、結婚してから得た財産の半分をもらえるということになります。

Q:
5年前に3000万円でマンションを購入しました。当然ローンを組んでいますが、あと15年支払いが残っています。頭金をいくらか支払い、毎月のローンの返済額は8万円なので、預金はそんなにありません。
今自宅にしているマンションが唯一の財産といえると思います。マンションを財産分与としてもらうことはできないでしょうか?

A:
離婚の際の協議で、マンションに住み続けること及び住宅ローンを引き続きご主人が支払いをすることを承諾してくれれば可能かもしれません。ただし、今後も確実にローンの支払いをすると言ってくれたとしても、それを確実に支払うように強制させることは難しいんです。
一般的には、売却して売却代金を半分にすることが多いです。財産的価値の目安としては、現在の資産価値から残ローンの金額を引いたものになりますが、残ローンの金額によってはマイナスになることもあります。

Q:
わかりました。残ローンは2000万円以上残っているので、マンションはあきらめた方がいいようです。
これ以上一緒に夫と生活したくないので、まずは子どもを連れて家を出て夫と別居をしてから、離婚の話し合いをしようと思います。
仕事は見つけようと思いますが、ずっと専業主婦だったので、すぐに仕事が見つかるとも思えません。夫から生活費を受け取るにはどうしたらいいでしょうか?

A:
離婚するまでは、婚姻費用というものが受け取れます。「生活費」と考えていただけば大丈夫です。夫婦はお互いに生活費を負担する義務がありますから、別居をしていても離婚するまでは、婚姻費用を受け取ることができます。
婚姻費用を支払ってもらえない場合は、裁判所に婚姻費用請求の調停を申し立てることができます。調停でのお話し合いで金額が決まらなければ、審判手続きで裁判所が決めてくれます。裁判所で調書(書面)が作成されれば、支払いを強制することもできるようになります。
裁判所が決める場合には、算定基準というものに沿った金額になります。夫の収入と妻の収入とを勘案して作成された算定表を参考にして、負担額を決めることになります。その際には収入を証明できるもの、源泉徴収票や課税証明が必要になります。

Q:
子どもは私立中学に通っています。算定表を見ると、婚姻費用は毎月13万円となっているようなのですが、この中から子どもの学費を払って生活するのは難しいです。支払ってもらう金額をもう少し増やすことはできないのでしょうか?

A:
算定表は基準ではありますが、全てこれで決まるわけではありません。ご主人が承諾してくれれば、基準よりも高い金額の婚姻費用になることはあります。
また、ご主人が賛成して、お子さんを私立中学に通わせているというような場合は、特別な事情として、その分高めの金額を裁判所が認めてくれることもあります。
それぞれの個別の事情によって違ってくることがありますので、わたくしどものような専門家にまずはお気軽にご相談ください。

(10月26日放送)