「たまログ 2022年8月号」

Q:
私は子猫を飼っています。家の中に閉じ込めておくのもかわいそうかと思って外に出したことがあります。すると、子猫が隣の家に入り込んで、部屋の壁で爪とぎをしてしまいました。私としては、子猫が爪とぎなどをしないようにしっかりと躾をしていたつもりなのですが、責任をとらなくてはいけないのでしょうか?

A:
前回ご説明したとおり、法律では、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」(民法718条)と定められています。また、「他人」とは、文字だけを見ると人の体だけを意味するようにも思えますが、実際には、人の体だけではなく財産などの物も含まれると考えられています。
一方で、責任を負わなくてよい場合として、「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」と定められています。この「相当の注意をもってその管理をした」とは、通常の払うべき程度の注意義務を意味していて、動物の種類や、性質、他の人や物を傷つけたことがあるか、飼い主がどれほどペットの飼育に習熟しているかなどといった様々な事情を考慮して総合的に判断されています。
猫が壁で爪とぎをすることは普通にあります。そのため、飼い主としては、飼い猫を他人の家に侵入させないように、自宅から出さないようにしておく必要がありますので、相当の注意義務を払ったとはいえないと思われます。

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